消化器内科のご案内

消化器内科では、食道・胃・小腸・大腸・肝臓・胆のう・膵臓などの消化器全般にわたる疾患の診療を行います。消化器の不調は放置すると重篤な病気へと進行することもあるため、早期発見・早期治療が重要です。お腹の痛み、胃もたれ、便秘や下痢、血便などの症状がある方は、お気軽にご相談ください。
- 1消化器内科の診療の対象となる病気
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食道の病気
逆流性食道炎、バレット食道、食道がん など
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胃の病気
胃炎、胃潰瘍、胃がん、ピロリ菌感染症 など
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腸の病気
機能性ディスペプシア、アニサキス、
過敏性腸症候群、大腸ポリープ、大腸がん など -
肝臓・胆のう・膵臓
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- 2上部消化管内視鏡(胃カメラ)による診療
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上部消化管内視鏡(胃カメラ)は、口または鼻から内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸の状態を詳しく観察する検査です。
- 適応となる症状・疾患
- 心窩部痛、胸やけ、胃もたれ、吐き気
貧血や体重減少の原因検索
ピロリ菌感染に伴う慢性胃炎で早期胃がんのスクリーニング
当院では、苦痛の少ない経鼻内視鏡や鎮静剤を使用した内視鏡検査を実施しております。
- 3下部消化管内視鏡(大腸カメラ)による診療
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下部消化管内視鏡(大腸カメラ)は、肛門から内視鏡を挿入し、大腸の状態を詳しく観察する検査です。
- 適応となる症状・疾患
- 血便、便秘や下痢の継続
大腸ポリープや大腸がんのスクリーニング
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の診断・経過観察
ポリープが見つかった場合、サイズや形態によってはその場で切除することも可能です。
鎮静剤を使用した検査も対応しておりますので、ご安心ください。
大腸カメラ検査を受けて頂く際は腸内が綺麗になっていないと、がんの見落としに繋がってしまいますので、大腸カメラ検査当日に下剤を飲んで頂きます。下剤服用はご自宅でも可能ですが、自宅からクリニックに向かう途中で便意を催すのが不安な方は院内でもスペースを確保していますのでお気軽にご相談ください。
また、下剤内服が苦手な方は細い経鼻胃管(鼻チューブ)を挿入し、胃にゆっくり下剤を流していく方法も可能です。この方法では鼻に違和感や刺激感を伴うことがありますので、局所麻酔のキシロカインを用いることがあります。歯科麻酔でアレルギーのあるかたは受けられないことがあります。
- 4大腸CT
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大腸CT検査は、内視鏡を挿入せずに大腸の中を見ることのできる新しい大腸がん精密検査法です。お尻から少しだけチューブを入れさせてもらい、そこから炭酸ガス(そのまま腸管内に吸収されるので空気より膨満感の少なくできます)を注入して大腸を拡張させ、マルチスライスCT装置を用いて撮影することで、あたかも内視鏡検査を行ったかのような大腸の3次元画像(仮想内視鏡像)を得ることができます。
大腸内視鏡検査と比較して苦痛が少なく、検査時間もCTを撮影する時間だけで10-15分程度で終わります。
健康診断や大腸がん検診で便潜血陽性の方は大腸CTの検査適応となります。
通常は大腸内視鏡と同じような前処置を行いますが、下剤量が多すぎてすぐ膨満感が出てくる方は別の前処置の方法に変えることができますので、大腸内視鏡の前処置の下剤量が多すぎてすぐ膨満感が出てくる方はご相談ください。また、大腸内視鏡に心理的な不安がある方にもお勧めします。*画像作成に時間がかかりますので説明は後日になります。
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- 5膵臓MRI・MRCP
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膵臓はエコーで見えにくい部位がよく出る臓器です。やせ型の方は比較的見えやすいですが、肥満傾向の方は超音波が奥まで届きにくく、また超音波は空気による影響を受けやすいので、胃や小腸によって見えない時もあります。特にエコーで見えにくい膵尾部(膵臓の一番奥)ではがんがあっても症状を来しにくく、早期での診断が難しくなっています。
MRIによって膵臓の中を通る主膵管といった膵臓から分泌される液体の主な通り道が狭くなっていないかを見ることで膵臓に異常がないかを確認することができます。
- 6低線量肺がんCT
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日本人の部位別がん死亡数で肺がんは男性が1位、女性は大腸がんに次いで2位と多くなっています。健診による胸部レントゲン写真の普及で費用対効果として肺がんの死亡率自体はさがっているものの、それでも死因として多い状況です。胸部レントゲン写真ではわからない小さな結節や横隔膜や心臓の後ろ側などの見えにくい部位もあります。CT検査ではそういったレントゲン写真では見えにくい部位も見えますので、気になる方はCT検査を検討ください。低線量CTでは通常のCT検査に比べると約1/5~1/10程度の放射線被ばく量(約1mSv程度、通常1年間で自然の中で受ける放射線量が約2.4mSv)で比較的安全に受けられます。希望がある方はご相談ください。
*ただし肺以外の部位(甲状腺、心臓、大動脈、食道や撮影範囲に含まれる肝臓や膵臓、腎臓など)については線量が足りず評価しにくくなっているため、基本的には通常の撮影を行っています。
- 7全身がんMRI
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MRIの撮影技術の一つで全身のがん検診を行います。拡散強調画像(DWI)を全身に撮影することでがんや炎症などの病変の検出を行います。検出能としてはPET-CTに似ていますが、基本的には放射線を用いませんので放射線被ばくがなく、またPET-CTと違って放射線薬剤の効果がなくなるまで待機する必要もないため、検査時間はMRIに入っている時間のみと短くなります。心臓ペースメーカーや人工内耳などの電子機器を装着している方は故障しますのでできません。また、狭いMRIの中に入ってもらうため、閉所恐怖症の方は難しいことがおおいです。
*すべてのがんが見つかるわけではなく、早期の場合は見つけられない可能性が高いです。また、見つけやすい部位(咽頭がん、乳がん、肝臓がん、子宮がん、腎臓がん、尿管がん、膀胱がん、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など)、見つけにくい部位(動きのある肺や胃、大腸などの消化器)があります。
*ドックのオプション検査になります。
食道の病気
逆流性食道炎、バレット食道、食道がん など
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逆流性食道炎
高脂肪食やアルコール過多による胃酸分泌が多くなる食事内容、食事後の姿勢・肥満・ウエストを締め付ける衣類などの生活習慣、妊娠や加齢に伴う脊椎の弯曲による腹圧の上昇が発症や悪化に関与します。 炎症が続くことによって食道がんのリスクにもなりますので内服による治療や内視鏡検査での定期的な経過観察を要します。
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バレット食道
逆流性食道炎などの慢性的な刺激によって食道粘膜が少し変な胃粘膜に置き換わっていきます。元々は日本人には少ないと言われていましたが、食の欧米化や食生活の改善により増加傾向です。置き換わった胃粘膜は食道腺がん(通常の食道上皮がんと粘膜が異なる)になりやすくなります。早期の段階では食道上皮がんと同じように内視鏡治療ができることが多いので、定期的な内視鏡検査での確認を推奨します。
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食道がん
喫煙や飲酒(遺伝的素因あり)によるリスク上昇があります。早期食道がんは昔ではヨード性の薬剤を散布して確認することが多かったですが、最近では内視鏡システムによる色調変更で比較的発見しやすくなっています。食道は胃に比べると全体的に薄いため、リンパ節転移や周囲臓器への浸潤が早く、根治することが大変になることがあります。粘膜表層にとどまる早期食道がんでは内視鏡での治療が可能ですので、早期発見するためにはリスクの高い方はなるべく内視鏡検査での定期的な検査をお勧めします。
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胃の病気
胃炎、胃潰瘍、胃がん、ピロリ菌感染症 など
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胃炎、胃潰瘍
ピロリ菌感染に伴う慢性胃炎・萎縮性胃炎と薬剤性(非ステロイド性鎮痛薬 NSAIDs)やストレスによる胃炎があります。いずれにしても胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となることがあります。市販のお薬でも症状の緩和は見込めますが、原因を取り除かなければ症状を繰り返したり、潰瘍が深くなって血管を損傷すると出血(吐血や黒色便)の原因になったり、さらに深くなると穴が開いたりして手術が必要となることもあります。みぞおちあたりの痛みが気になる場合はご相談ください。
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ピロリ菌感染症
通常では胃の中にいないはずの細菌ですが、幼年期の生育環境(親からの口移しでの食事摂取)や汚染された井戸水の飲用、池や川で泳いだ時に水を飲みこんでしまったなどが原因で胃の中に生着します。胃酸の中でも生きていけるような物質を産生する菌で、これが胃の中を荒らす原因となります。萎縮性胃炎や慢性胃炎といわれる方がこれにあたりますが、慢性胃炎が進行すると胃の粘膜が徐々に変化し、胃がんの発生リスクが高くなっていきます。早めに除菌治療を行うことでがんの発生率を低減できるとされており、他にもピロリ菌感染に関連する病気(胃潰瘍や十二指腸潰瘍、特発性血小板減少性紫斑病)も抑制することができますので、早い段階での除菌治療を推奨します。
多くは中高年の罹患率が高く若年層では少ないですが、以上の点から早い段階で菌がいないことを確認することも大事です。 -
胃がん
過去には日本人のがん死亡原因第一位となった国民病でした。ピロリ菌感染症の減少とともに現在では減少傾向ではあります。早期の粘膜にとどまる場合や粘膜下層でも比較的浅い場合は内視鏡治療による比較的低侵襲な方法で根治を見込めます。慢性胃炎・萎縮性胃炎と言われた方は胃がんになりやすいため定期的な内視鏡検査での経過観察をお勧めします。
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腸の病気
機能性ディスペプシア、アニサキス、過敏性腸症候群、大腸ポリープ、大腸がん など
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機能性ディスペプシア
胃もたれや胸焼けなどの鳩尾あたりの違和感といった慢性的な症状があるものの、胃内視鏡検査では大きな異常が見当たらない状態です。症状は消化器の運動状況などの機能的な問題や知覚過敏などが原因と思われています。消化管の運動を強くしたり、胃酸の分泌を抑制したり、ピロリ菌感染症の方は除菌治療を行ったりすると症状が緩和されることもあります。一概に原因が断定できないため状態によって処方を切り替えて症状を緩和させることができると言われています。慢性的な消化器症状がある方はご相談ください。
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アニサキス
アニサキスは主に感染したオキアミを食べた魚介類(サバやアジ、サンマ、イカなど多岐に渡ります)に時折みられる寄生虫です。釣ったばかりの新鮮な魚介類は特に注意が必要です。
人間の体内ではあまり生きられないので1週間ほどで死にますが、異物反応により急激な腹痛を生じることがあります。胃や十二指腸内に虫体がいるようでしたら内視鏡検査で除去することができます。 -
大腸ポリープ/大腸がん
大腸ポリープには腫瘍性ポリープ(腺腫、腺癌)と非腫瘍性ポリープ(炎症性、過形成性、過誤腫性)があります。非腫瘍性ポリープはがん化のリスクは低いものの、大きくなると出血や便の通過障害を来すことがあります。腫瘍性ポリープは良性の場合は大きくなるまで時間がかかることが多いですが、大きくなるとがん化するリスクがありますので、良性であっても大きなものは特に切除対象となります。大腸がんは早期に発見できれば負担が少ない内視鏡治療で多くは根治可能です。しかし早期の場合は便潜血陰性であることも多く、また症状がほとんどないため、40歳以上の方は大腸検査で確認して方針を検討した方が良いと思います。当院では鎮静下でできるだけ苦痛の少ない大腸検査を行いますし、大腸の前処置のお薬を飲むのが苦手という方の場合は、内用量の少ない大腸CTや経鼻胃管(鼻から胃の中に細長いチューブを留置して)そこから胃の中に直接前処置液をゆっくり流すということも可能ですので、内用に自信のない方はご相談ください。
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肝臓・胆のう・膵臓
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脂肪肝や肝炎は進行すると肝硬変や肝がんのリスクを高めます。定期的な血液検査やエコー検査により、早期発見・早期治療を目指します。
胆のうには胆石やポリープなどができることがありますが、ポリープはサイズによっては胆のうがんの可能性もありますので、エコーなどでの定期的な経過観察が必要です。
膵臓がんは各種健診でも早期で見つけることがかなり難しい病気です。エコー検査でも異常を指摘することが難しいことがおおくCT検査でも造影剤という薬を使った検査でないとわからないことも多々あります。同ビル内で撮影できるCTやMRI(MRCPといって胆管や膵管を描出する方法)も可能ですので、気になる方はご相談ください。
健康診断を受診して異常を指摘された方へ
当院では、健康診断で異常を指摘されたが自覚症状を感じないので受診していない方に対して早期治療介入による健康寿命を延ばすことを目標としています。生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症など)や、がんは発症初期段階では基本的に自覚症状がないことがほとんどです。気にしていない間に病状が進行し、症状を起こしたときには進行がんや心筋梗塞、脳梗塞などの致命的な病気を引き起こす場合があります。
日本人の死因では「悪性新生物(腫瘍)」が一番多く、悪性新生物に続く死因第2位は「高血圧を除く心疾患」となります。また脳血管障害も老衰に次いで4番目に多く、癌と心疾患脳血管疾患は、健康診断で早期発見し、早期の段階で治療介入と適切な経過観察を行うことができれば死亡率を下げることができます。健康診断で異常を指摘された方は、自覚症状の有無に関わらず必ず医師にご相談してください。